勝利の影に潜む課題
~秋シーズンに向けて高いスタンダードを求めて〜
5月18日、MKタクシーフィールドで行われたグリーンボウル第2節、パナソニック インパルスとSEKISUIチャレンジャーズの一戦は、34対7でインパルスが勝利した。
実戦としては今春の最終戦。しかも、昨秋のリーグ戦では14対13と辛くも1点差で勝利した相手だけに、インパルスにとっては現在の力を推し量る上で重要な一戦となった。
SEKISUIの最初の攻撃を3ダウン&アウトに仕留めて敵陣41ヤードから始まった最初の攻撃機会は、QB#12荒木優也、RB#26藤本拓弥のランで第1ダウンを更新したが、フォルススタートの反則などもあり2回目のシリーズ更新はならず。しかし、K#35小林真大が41ヤードFGを決めて先制した。
再び守備がSEKISUIの攻撃を3ダウン&アウトに仕留めて得た自陣26ヤードからの攻撃機会は、RB藤本が中央を抜け出して41ヤードのロングゲイン。立て続けにWR#84長沼晃平への18ヤードパスで得点圏に進み、QB荒木がWR#14ブレナン翼へTDパスを決めて加点した。
気迫あふれる守備も魅せた。第1ダウンではDL#44松本英一郎がブロッカーをQBのいる位置まで力強く押し下げてそのままQBサック。第3ダウンにはブリッツに入ったLB#1青根奨太が一直線にQBを急襲してQBサック。3シリーズ連続で3ダウン&アウトに仕留めた。
第1Q終盤から登場したQB#11小林宏充も快調にボールを前に進めた。このシリーズはゴール前11ヤードに迫ったところでファンブルで攻撃権を失ったが、DB#20村瀬大地、DL#95小石直哉のロスタックルをきっかけに敵陣46ヤードの好位置を獲得。このシリーズは、WR#18桑田理介、RB#19小泉誠実へのパス、RB#29牧田圭祐のランで3度シリーズを更新し、桑田への6ヤードTDパスで締めくくった。
三番手として登場した新人QB#8須田啓太は、第3Q最初の攻撃機会にTE#85Caleb Phillipsへのパスと自らのランで敵陣に進むと、WRブレナンへのロングパスでゴール前16ヤードに迫り、WR#17木下統之への16ヤードTDパスでドライブを締めくくった。
ここまでは一方的な展開に持ち込んでいたインパルスだが、以降はSEKISUIの粘り強い攻守に苦戦した。第3Q終盤、スペシャルプレーでロングゲインを許したのをきっかけにゴール前に迫られて、中央のランで押し込まれて失点。
第4Q、ゴール前13ヤードに迫ったチャンスには第3ダウンでQBサックを喫してFG止まり。第4Q終盤にSEKISUIが自陣で第4ダウンギャンブルを失敗した直後にはRB牧田が一撃でTDを奪ったものの、第4QはSEKISUIにボール所有時間で上回られた。
2025年、春のインパルスの公式戦は、ライスボウル二連覇を目指す上で現状の課題が浮き彫りとなる結果になった。
試合後コメント
ヘッドコーチインタビュー
ヘッドコーチ 高山直也
前半の入り方、後半も含めて内容としては納得がいく結果ではありませんでした。反則についても仕方ない反則と絶対にしてはいけない反則があります。自分たちの準備が不足して起こるフォルススタートや、ゴール前でボールを失ってしまったことなどが、チームとして大きな反省点だと思っています。守備はQBのランとパワーランを止めることができませんでした。これはシステム云々ではなく、タックルミスが原因です。私達が目指しているレベルと照らし合わせて、どの部分でどうやられているのかをしっかりレビューしていきます。いい課題をいただいたと思っています。次は富士通さんと合同練習になりますが、1対1の勝負にこだわって臨みます。
選手インタビュー
WR#84 長沼 晃平
長年ケガに悩まされ続けていましたが、今までのキャリアの中では一番いいコンディションでプレーできています。今は目の前のチャンス、1プレー1プレーに集中して取り組んでいます。今日はチームで一番パスを捕ることができましたが、キャッチングや相手との1対1の勝負という点ではある程度できたかなという感触があります。一方で、細かなミスもあり、修正が必要な部分も多々ありました。同期のQB荒木とは一番長く練習していますし、小林はアフター練習を一番一緒にしているQBです。須田は須田自身の能力が高いので、誰にでも投げることができます。QBとのコミュニケーションも年々深まってきています。次の富士通の合同練習では、今まで個人的にはあまり対戦する機会がなかったので、トップレベルのチームに対して個人としてどこまでできるのかをしっかり試したいと思っています。
選手インタビュー
LB#1 青根 奨太
攻守キッキング、それぞれにやりたいプレーを持って、過去最高のスタンダードを発揮しようとした試合でしたが、その観点でいうと悔しさばかりが残る内容でした。いいところももちろんありしたが、自分たちで首を締めている場面も多々ありました。守備は昨年、一昨年からタックルにこだわってきましたが、基本の徹底があまりできていませんでした。一人ひとりが誰よりも強いタックルができるようになり、2人目、3人目がすぐに集まってくる守備を作るために改善に取り組んでいかなければと思っています。富士通の合同練習についても、自分たちのスタンダードを向上させるということに主眼を置いて、実際のゲームだったらどういうアプローチ、フィニッシュになるのかを基準として持って臨みたいと思います。
ハイライト映像
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